難易度の高い中小企業診断士「財務会計」の勉強法を知りたいです。
簿記学習も効果的とのことですが、どうすればよいか悩んでます。財務会計克服法を教えてください。
aki good blogのあきっとです。
本記事は、中小企業診断士「財務会計」対策に悩むあなたへ、攻略のための勉強法ついて、簿記学習との関連も含め解説します。
この記事で学べること
- 中小企業診断士「財務会計」の難易度やレベル感がわかる
- 「財務会計」攻略のためのおすすめテキストと勉強法がわかる
- 「財務会計」に簿記学習が必要かわかる
3度の挑戦を経て診断士登録。
初めて診断士資格を学習するも、一次試験は7割以上得点。二次の事例4は、A→A→Bで合格しています。
この経験を踏まえた勉強方法をお伝えします。
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中小企業診断士試験重要科目「財務会計」の難易度とレベル|本当に難しい?
まず財務会計の出題範囲と合格率を見てみましょう。
中小企業診断士「財務会計」の試験範囲
中小企業診断士試験案内によれば、財務会計の試験範囲は以下のとおり。
試験範囲
- 簿記の基礎
- 企業会計の基礎
- 原価計算
- 経営分析
- 利益と資金の管理
- キャッシュフロー
- 資金調達と配当政策
- 投資決定
- 証券投資論
- 企業価値管理 等
大きく、会計(管理会計・財務会計)とファイナンスの2分野から広く出題されます。
中小企業診断士試験は、1次と2次があり、財務会計はどちらにも出題される重要科目の1つ。
ここで試験合格基準も確認しましょう。
- 一次試験の合格基準
→全7科目の択一試験|計420点以上で合格 ※40点未満の足切りあり - 二次試験の合格基準
→全4事例の記述試験|計240点以上で合格 ※40点未満の足切りあり
一次は二次より、科目数は多いものの、苦手科目で点がへこんでも他科目で挽回しやすくなってます。
また、二次の財務会計(「事例4」)は、一・二次全科目中で最高難易度と言われてます。
中小企業診断士一次試験の科目合格率推移
一次は「科目合格制度」があり、各科目ごと、60点をとれば「科目合格」となります。
過去5年間の科目別合格率を見てみましょう。
■過去5年間の科目別合格率
科目 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|
経済学 経済政策 | 26.4% | 25.8% | 23.5% | 21.1% | 10.5% | 21.4% |
★財務 会計 | 7.3% | 16.3% | 10.8% | 22.4% | 13.3% | 14.2% |
企業経営 理論 | 7.1% | 10.8% | 19.4% | 34.7% | 17.2% | 17.8% |
運営 管理 | 25.8% | 22.8% | 9.4% | 18.5% | 16.0% | 18.5% |
経営 法務 | 5.1% | 10.1% | 12.0% | 12.8% | 26.8% | 13.3% |
経営情報 システム | 22.9% | 26.6% | 28.7% | 10.6% | 18.5% | 21.4% |
中小企業 経営・政策 | 23.0% | 5.6% | 16.4% | 7.1% | 10.9% | 12.6% |
各科目ともに年度の乱高下があり、一概には言えないものの、受験生の認識はおおよそ下記のとおりです。
科目 | 難易度 |
---|---|
経済学・経済政策 | やさしい |
経営情報システム | 比較的やさしい |
企業経営理論 | 比較的やさしい |
運営管理 | 比較的やさしい |
中小企業経営・政策 | 比較的むずかしい(近年難化) |
★財務会計 | 比較的むずかしい |
経営法務 | むずかしい |
とはいえ、油断するといきなり超難化する科目も出てきます。
しかし「7科目平均60点で合格する」一次試験。
一つの科目で予想外に点数がへこんでも、他科目で点を稼ぎ、全科目得点をならして平均60点を超えればいいんです。
難しい財務会計も戦略的に乗り越えましょう。
中小企業診断士二次試験の科目別(事例別)合格率推移
二次試験は、科目合格率が非公表のため事例4の合格率は不明。
しかし多くの受験生は、事例4が足かせで不合格になっており、体感でももっともしんどい科目と言えます。
中小企業診断士「財務会計」が難しい理由
なぜ財務会計・事例4は難易度が高いんでしょうか?
結論から言えば、財務会計に計算プロセスがあるから。
一次試験の多くは基本暗記対応可能で、また事例1~3は文章記述だけで回答できます。
計算処理が難度をあげるのは、
- たくさんの公式を覚えなければならない
- 使うべき公式を誤る可能性がある
- 電卓操作で時間がとられる
- 計算ミスをする
- 検算に時間がかかる
主に上記理由からですが、ここで一次試験の過去問を見てみましょう。
第18問
当社はある機械の導入の可否を検討している。この機械の導入により、年間の税引前キャッシュフローが2,000万円増加する。
また、この機械の年間減価償却費は900 万円である。
実効税率を30%とするとき、年間の税引後キャッシュフローはいくらになるか。最も適切なものを選べ。ア 870万円 イ 1,100万円 ウ 1,670万円 エ 2,030万円
引用:令和3年度 中小企業診断士一次試験 財務会計
見てわかるとおり、問題文を読むだけでは正誤判定不可。きちんと計算しなければ解答にたどり着けません。
苦手受験生の免除は可能?|中小企業診断士の「財務会計」科目
財務会計がどうしても苦手です。試験回避できませんか?
一次試験は「科目免除制度」がありますが、財務会計の免除要件は以下のとおり。
- 公認会計士、公認会計士試験合格者、会計士補、会計士補となる有資格者
- 税理士、税理士試験合格者、税理士試験免除者
- 弁護士また弁護士となる資格を有する者
いずれも診断士以上の難関と言われる資格ばかりのため、実質的に免除は難しいですね。。。
なお二次(筆記試験+口述試験)の免除は「養成課程」へ進むほかありません。
試験合格後の実務で「財務会計」の知識は求められる
企業は、売上・利益を算出し、PDCAサイクルを回します。
経営コンサルタントである診断士は、時に経営者から、会社業績に関するアドバイスを求められることもあるかもしれません。
その際「財務会計は苦手なのでちょっと…」とは答えにくいですよね。
試験対策としての割り切りも大切ですが、合格後にも財務会計の知識が求められることは頭に入れておきましょう。
最高難易度の事例4も解説|中小企業診断士「財務会計」おすすめ問題集と勉強法|苦手を克服
ここからは財務会計の勉強法と、事例4で不合格とならない具体的テクニックを解説します。
「財務会計」の勉強法
勉強法については以下のとおりです。
- 財務会計対策のテキスト・過去問・問題集を用意する
- 毎日の演習を継続する
- スキマ時間を活用する
- かならず会計・ファイナンスの2分野を学習する
- 予備校の「事例4講座」を受講する
詳細を解説していきますね。
「財務会計」勉強法①|問題集・過去問の準備
財務会計対策の必要教材を準備します。
■財務会計対策のテキスト・問題集
- 一次試験教材
→市販の過去問「最速合格のための第1次試験過去問題集」のみを用意。 - 二次試験教材
→過去問「最短合格のための第二次試験過去問題集」に加え、別問題集も用意。
わたしの場合は、「中小企業診断士 集中特訓 財務・会計 計算問題集」を選びました。
ブログ内に、一次試験おすすめ過去問と二次試験おすすめテキストの紹介記事もありますので参考にしてください。
「財務会計」勉強法②|毎日の演習継続
財務会計攻略でもっとも大事なこと。それは毎日かならず演習をすることです。
コツコツ継続してないと知識・解法・電卓の使い方(手を滑らかに動かす)をすぐ忘れてしまうんですよね。
試験本番、公式を忘れ解けなかった・・・みたいなことがないよう、感覚を鈍らすことないよう毎日積み重ねましょう。
「財務会計」勉強法③|スキマ時間の活用
一次は択一試験のため、スキマ時間の活用が大切。
時間があいたら1問でも過去問を解きましょう。
また、二次の事例演習は80分確保して取り組むことをおすすめしますが、事例4はスキマ時間で演習をします。
具体的には以下のとおり。
・毎日の往復通勤時間
→片道45分で席に座れた時はすぐに問題集と電卓を出して演習を開始。
・会社の昼休み
→勉強期間中、昼食はコンビニで済のおにぎりなどで済ます。15分で食べ、残りの45分休憩で問題を解く。
これだけで、毎日2時間弱捻出。
細切れ時間の演習積み重ねも手伝い、問題を解く感覚を鈍らせることなく、本試験に臨むことができました。
「財務会計」勉強法④|会計・ファイナンスの2分野演習
1日の演習では、①会計(管理会計・財務会計)、②ファイナンス、かならず2分野を解きましょう。
勉強法②で「毎日の演習継続」と述べましたが考え方は同じ。
たとえば「今週は、会計の勉強はやらず、ファイナンスだけも集中して勉強しよう」。これはおすすめできません。
なぜなら「ファイナンスは強化されたけど、会計をすっかり忘れてしまった・・・」ということが起こるからです。偏りなく学習を続けることがポイントですね。
特化して演習できないもどかしさもありますが、結果的にその方が合格に近づくでしょう。
「財務会計」勉強法⑤:予備校の「事例4講座」の受講
文字通り、二次の事例4対策講座を受けること。
わたしの場合は、TACのオプション講座を選択。
効果的ではありましたが、値段は少々高めといったところ。
費用が気になるところですが、財務会計は試験合否を左右します。なるべく出し惜しみはしないようにしましょう。
ぜひ受講を検討してみてください。
二次試験「事例4」合格への対策|頻出論点で確実に得点を
勉強法最後に、全科目で最高難易度「事例4」対策をお伝えします。
事例4は、財務コンサルティング問題なども出題されますが、よほど自信がない限り、事例4で勝負をかけるのはやめましょう。
予備校講義で対策を万全にし、「得点する設問」と「捨てる設問」を見極め、とるべき設問での確実な得点が大切。
具体的には以下のとおり。
- 「経営分析」で得点する
- 「記述問題」で得点する
- 「ワンパターン問題」で得点する
- 電卓の速度と正確性を高める
それでは詳細を解説しますね。
事例4対策①|「経営分析」で得点する
事例4対策の1つ目は、経営分析で得点すること。
経営分析は、毎年まず間違いなく出題されるものの、分析指標が決まっており、容易に与件文からヒントが得られるため、難易度が低いです。
分析指標は主に以下の9つ。
区分 | 指標 | 代表的キーワード |
---|---|---|
収益性 | 1.売上高粗利率 | 原価 |
2.売上高営業利益率 | 商品力・サービス力 | |
3.売上高経常利益率 | 支払利息 | |
安全性 | 4.流動比率(当座比率) | キャッシュ・現金 |
5.自己資本比率(負債比率) | 利益の積上げ | |
6.固定長期適合率 | 固定資産 | |
効率性 | 7.有形固定資産回転率 | 機械・土地 |
8.棚卸資産回転率 | 在庫 | |
9.売上債権回転率 | 売上回収 |
経営分析では、基本の9指標の意味とその公式を理解し回答します。
与件文からキーワードを読み取れれば、使う指標がわかり、あとは公式にあてはめるだけ。
受験生の多くもここで得点します。計算ミスなどで失点しないよう注意してください。
事例4対策②|「記述問題」で得点する
事例4にも、文章で回答させる設問があります。このときはチャンス。
計算問題が多ければ、当然試験の難易度があがります。
一方、記述問題は部分点が狙えます。
記述の過去問題を見てみましょう。
第4問(配点20点)
引用:令和元年度 中小企業診断士二次試験 事例4
(設問1)D社は建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としている。その⒜メリットと⒝デメリットを、それぞれ30字以内で説明せよ。
(設問2)建材事業部では、EDIの導入を検討している。どのような財務的効果が期待できるか。60字以内で説明せよ。
第4問(配点20点)
引用:令和4年度 中小企業診断士二次試験 事例4
D社が中古車販売事業を実行する際に考えられるリスクを財務的観点から2点指摘し、それらのマネジメントについて100字以内で助言せよ。
事例4の回答文字数は、20~100文字程度と少ない傾向があります。
正解がわかればもちろん満点狙い。
知識があいまいでも、少しでも多くのワードを盛り込み得点アップを狙いましょう。
事例4対策③|「ワンパターンの問題」で得点する
計算問題にも、難易度差があります。
比較的得点しやすいのは、CVP分析、BS/PL作成、キャッシュフロー計算書作成など。
これらの問題は、出題のされ方がほぼワンパターン。
出たら絶対得点できるよう、何度も演習をくりかえし、徹底的に準備してください。
事例4対策④|電卓の速度と正確性を高める
事例4は、一次の財務会計と違い電卓持ち込み可能。
本番ですばやく解けるよう、なじみの電卓で毎日演習し速度と正確性を高めます。
これは物理的なスピードの話ですが、二次は時間的余裕がないため、あらゆる処理速度を高めておきましょう。
電卓選びは12桁入力可能なもの必須で選んでくださいね。桁数少ないとストレスになります・・・。
↓参考までにわたしが使った電卓です。
デザインが気に入り試験用に買ったのですが思いのほか使いやすく、試験合格後、職場にブラック・自宅にネイビーを買いました。
それでも簡単に突破できないのが事例4ですが、万全の対策で臨みましょう。
中小企業診断士「財務会計」対策に簿記を学ぶべき?|結論:やるべき
財務会計対策に簿記学習はした方がいいと言われましたが、どうなんでしょうか?
結論として、やった方がいいです。ただし、
- 財務会計が非常に苦手。
- 財務会計以外の科目・事例4以外はそれなりに自信がある。
- 電卓使いが圧倒的に下手。
こんな状況なら、診断士学習と並行してやってもいいですが、「診断士合格」という目的を見失わないようご注意を。
でもなぜ簿記をやる意味があるのでしょうか?
簿記学習は、各予備校や通信講座のカリキュラム組み込まれているくらい重要。
主な理由は以下のとおりです。
- 出題範囲が重なる(仕訳、財務諸表作成(貸借対照表・損益計算書)、連結会計、原価計算など)
- 計算難易度は簿記の方が高い傾向
- 電卓処理がかなり早くなる
- 試験に受かれば簿記資格がとれる
理想は2級の取得で、1級までは不要。
わたしも簿記3級を持ってますが、基礎理解ができ苦手意識持つことなく合格できました。
また最近は、メールアドレス登録だけで完全無料で簿記3級・2級を学べるサービスなんかも出てるので、少しさわってみるのもいいかもしれません。
ちなみにわたしは、診断士受験に通信講座スタディングをおすすめしてますが、以下のとおり、スタディングのカリキュラムにももちろん「簿記入門講座」はあります。
教材名 | カリキュラム |
---|---|
合格戦略講座 | 〇 |
簿記入門講座 | 〇 |
1次基礎講座 | 〇 |
実戦フォローアップ講座 | 〇 |
スマート問題集 | 〇 |
過去問セレクト講座 | 〇 |
1次試験年度別過去問題集 | 〇 |
2次合格メソッド講座 | 〇 |
2次試験 事例Ⅳ演習講座 | 〇 |
2次基礎講座 | 〇 |
学習Q&Aサービスの利用(チケット制)* | 〇 |
Q&Aチケット | 計5枚 |
冊子版オプション(1次基礎講座) | オプション |
なおスタディングは、「簿記入門講座」にくわえ、事例4特化対策「2次試験 事例Ⅳ演習講座」が通常カリキュラムに含まれてます。
追加費用なしの通常カリキュラム内に、これだけ財務会計対策が充実した講座はほかにありません。
独学だけではなかなか難しい診断士試験。
これから学習開始する人のほか、財務会計で涙した再受験者に、スタディングは検討価値はあるかもしれません。
スタディングについては別記事でも解説していますので興味あればご覧ください。
≫財務会計対策が圧倒的充実|スタディング中小企業講座の口コミと評判
まとめ|難易度の高い「財務会計」対策で中小企業診断士試験を突破しよう
ここまで、難関科目の財務会計について説明してきましたが、難財務会計を制する者は試験を制すといっても過言ではありません。
紹介した勉強法で苦手意識を克服し合格を目指しましょう。
ポイント
- 財務会計・事例4は、計算処理を伴うため全科目でもっとも難易度が高い。
- 適切な教材を用意し正しい勉強法で対策しよう。
- 財務会計対策が充実している講座活用で苦手を克服しよう。
お読みいただきありがとうございました。